2025年は、驚くべき年、そして喜ばしい年、になったのかもしれません。2025年はついに正真正銘の統一選手権が約10年ぶりに開催されたのです。

NDCJ 2025年統一全日本ページより引用

この事はあまり話題になりませんでしたが、今回の統一全日本選手権にはJBDF、JCF、JDC、そしてJDSF PDからの選手エントリーがありました!これは驚くべきことです。そして、陰に関係者の方々の努力があったと思われます。素晴らしい!ブラボー!

と、まあ褒めちぎっていますが、統一としてどの団体からも出られるよ、とはちゃんとアナウンスできていなかったようです。特にPDの選手にはその話はちゃんと伝わってなかったみたいですね。次回以降は各団体から、どの選手にも出場のチャンスがあるという事がしっかり伝わってほしいし、ダンスファンの方々にはしっかりと伝えてほしいですね。

(JBPDAについては、申し訳ないのですが活動記録が見えないため、プロ部門は消滅したと受け取っています。そうでは無かったら申し訳ありません<m(__)m>)

さて、なんでこんなに私が快挙だ!と言っているかと言いますと、本当に難しい状況の中での出場への道筋だからです。この複雑怪奇な状況を1から説明していきます。

ダンス界の分裂① 1993年

まず事の発端は、1993年の全日本ボールルームダンス連盟(JBDF 旧名:日本競技ダンス連盟)の分裂です。分裂した理由は、もう私も記憶にあまりはっきりしていないのですが、大きく分かれてJBDFとJDCに分裂します。その当時JDSFは、LACDという組織で、アマチュア選手のみの組織でした。プロ団体(アマチュア選手もいる)である、JBDFやJDCと、JDSFの仲は消して悪くなく、住み分けをしてお互い共存共栄的な感じでした。

ダンス界の分裂② 1997年

JBDFと分裂し若手を中心に多くの選手がJDC流れますが、JDC内のでトラブルなども有り、さらにJDCからJCFが分裂しました。このプロ3団体+JDSFという構図が、1997~2015まで約18年続きます。(正確にはこの間に、JCFからJPBDAという団体が分裂しているので、プロ4団体+JDSFが正確な表現です)

分裂こそしていますが、この時期がプロの選手数も最も多く、ダンス界が直近で一番輝いていた時代です。当然、日本一のダンサーを決めようと動きが出てきて、統一全日本が開催されることになりました。当時は間違いなく、プロの実力>アマチュアの実力、でもあったので、この統一全日本のチャンピオンは名実ともに日本のチャンピオンでありました。(団体ごとの審査員の割り振りなど、審査方法の善し悪しなどは別として)

ダンス界の分裂③ 2015年

この日本の【プロ4団体とアマ団体JDSF】の状況が変わってきたのが、2010年ごろからです。JDSFの親団体WDSFがプロ部門を持つようになってきました。そして両者の対立が鮮明になっていきます。両団体はそれぞれに権威ある大会を開催して、相手団体の大会への出場や審査を厳しく制限していきます。(ごめんなさい、実際は色々そうじゃない部分はあると思いますが、事実上そうであったということでこのような書き方を許してください)

もちろんそれに合わせて、日本のプロ4団体の親団体WDCと、WDSFの対立も鮮明になってきます。JDSFもトップアマ選手のプロ化を試み始めます(具体的には、商業レッスンなどの解禁)

ただ実際には、JBDFのトップとJDSFは、協力関係を結んで、合併を図っていました!
おそらく、今後のダンス界の衰退などを見据えて、英断を図ろうとしていたのでしょう。

ところが、それを良しとしなかった選手、審査員、団体運営者などが、激しく反発します。2015~16年のころです。JBDF内部でも大きく意見が割れ、まさに骨肉の争いがおこりました。わたしも1選手として渦中にいましたが、もう2度とあんなことは起こってほしくないと思いました。

結果的には、JBDFの一部の選手がJDSFへ移籍し、JDSFはPD(プレミアムでビジョン)という組織を作って、その選手たちを受け入れます。非常に激しい対立でしたので、いまでも禍根が残っています。
この分裂が統一全日本が真の完全統一ではなくなった、最初の理由です。

とはいえ、プロの全選手の内、おそらく5%程度がPDに移籍しただけなので、統一全日本は、ほぼ統一として開催されていました。

これが数年続きます。

ダンス界の分裂④ 2019年

ところが、この状況にさらに混乱が引き起こされます。世界団体WDCが内紛で、分裂を起こしました。

その結果WDOという団体が作られます(正確には、WDOという団体が分裂の受け皿になりました)。確か2019年ぐらいかと思います。コロナ渦を挟んでしまったため、勢いは落ちましたが、一時は多くの選手がWDOに流れる勢いでした。
そして、日本ではJDCがWDCから脱退して、WDOに加わります。(JBDFとJDSFの合併に強く反対をしていたのがJDCなのに、不思議な話ですね><)

そのため統一全日本からJDCが抜けました。というか、統一全日本を開催している運営団体があるのですが、そこはWDCの影響の参加にあるので、当然JDCの選手は出られなくなりました。すったもんだの末、その後は何とか出場できるようになったりならなかったり、、、もうこの辺(2019年あたり)から統一全日本が全然訳が分からなくなります。

同じくしてコロナ過が開けると、WDSFの方でも対立があり、DSH(CSIT傘下)という組織が分裂します。(これは日本の団体にはほとんど影響がありませんでした)
※CSITという表現はちょっと違うようなので修正しました。

さらにややこしいことに、そのあたりから、WDCとWDSFが協調路線を少し取り始めます。あれだけバチバチにやっていたのに、、敵の敵は仲間、みたいな話ですかね。困るのは選手の方です。上の方の意向で右へ行ったり左へ行ったり・・

2025年 30年ぶりに真の統一全日本が開催された!!

もちろん、今2025年現在でも日本内では、

JDC ⇔対立⇔ JBDF・JCF ⇔対立⇔ JDSF

こんな図になっており、本当に訳が分かりません。
なので、この辺のことを指してこの数年間私は、【なんちゃって統一全日本】などと揶揄させてもらっていました。もちろん言い分はそれぞれあるのでしょうが、外から見たら恥ずかしい限りです。

現在もこの状況はあまり変わっていません。
が、このような状況下で2025年の統一全日本では、どの団体の選手でも出場が可能であった、というのはとても喜ばしい事だったのです!
でも何故か当時の対立の中心にいた人たちが、そのことをあまり喧伝しないのはなんででしょうかねえ・・・日本のプロ団体が1993年以来、約30年ぶりに真の統一として大会が行われた歴史的な日だったんですけどね。もっと喜ぶべきでもっと宣伝するべきことだと思うのですが、、、まあ過去の遺恨がまだまだあるという事なのでしょう。

個人的には、どうやって統一大会運営の組織(NDCJ)がWDCやWDSFを説得したのだろうか、と気になります。特に審査員については選手以上に縛りが強いので、こういった大会で審査する建前などがどうなっているのか、非常に気になるところです。

そして、まだ問題というか未解決事項はあります。現在JDSFのアマ部門に所属している選手(多くが子供のころからやっている人たち)の一部トップレベルは、多くのプロ選手を上回っており、また事実上のプロ活動をしているので、現段階で日本一のダンサーを決めるためには、アマチュア・プロの所属を取り除いて行わないと、真のチャンピオンは決められないかもしれません。

何にしても、10年ぶりの統一全日本、「真統一全日本」が行われたことに、拍手です!

投稿者プロフィール

滝川 洋信
滝川 洋信
大学生の時に社交ダンス部(競技ダンス部)で社交ダンスを始めました。社交ダンス講師歴20年、教えてきた生徒の数は1500名を超えました。
現在、池袋と川口で社交ダンス教室を運営し、若者向け社交ダンス<ダンスサークルJ>や<ダンスサークルアクト>を開催しています。
タキガワダンススクール代表

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