さて今回は難しいテーマです。

なにが難しいかというと、良いという言葉が幅広すぎるため結論が出せないテーマだからです。

でも、一般的な感覚で、良い先生と悪い先生というのはあると思います。

今回はその辺を少し話してみましょう。

皆さんはダンスを習うときに、どんなことを先生に希望しますか?

またどんな先生ならいいと思いますか?

・面白い先生がいい
・びしばし厳しい先生がいい
・感覚を教えてほしい
・理論で教えてほしい
・やはり綺麗な人やイケメンがいい

いろいろあると思います。

ただしこれは個々人の好みの問題です。

これを論じていたらきりがないので、もっとダンスに関してよい先生ということで考えてみたいと思います。

まずは習うからには上達しなくてはしょうがないですよね。

レッスンを受けた際に、どのくらいその人に効果が残るかにはいくつかポイントがあります。

・何が良くて、何が悪いのかがわかる
・言葉でちゃんと伝えられている
・イメージが伝えられている
・やるべきことがはっきりわかる(すぐできなくてもよい)

これらを一言で言うと、コミュニケーションです。

先生が何を言いたいのか、何が悪いと思っているのか、どんなイメージなのか、何をやれば上達するのか。

こういったことが、ちゃんと生徒さんに伝わる

これが何より重要なことだと思います。

ですから、良い先生ということの最重要事項は、わかる!ということではないかと思います。

(もちろんこれには私の中でも異論がある部分もあるのですが)

たまに、こういう先生をみかけます。

「違う! 違う! そうじゃない」

「なんでできないの?」

こういう言葉を連発する先生は、ちょっと問題ありかな?と思います。

違いがわからないから、うまくできないから高いお金を払って習うわけです。

どこが違うのか、どうしたら良くなるのか、こういったことをちゃんと伝えられない先生はNGです。

またイメージ、もしくは言葉だけで伝えようとする先生もNGです。

良く、私はイメージ派、僕は理論派だ、という言葉を聞きますが、実はダンスにおいては両方必要なのです。

人間の頭はイメージと理論を両方をうまく混ぜ合わせて記憶をしています。

どちらか片方だけではうまく記憶できないのです。

たとえば、道ですれ違う、知らない人の顔を覚えるのはすごい難しいですよね?

でも名前を知っている人の顔はすぐ思い出せるし、今日、道ですれ違ったことも思い出せます。

逆に、名前だけの一覧を覚えろといわれても、なかなか大変です。

でも知り合いの名前の一覧は楽に覚えられる気がしませんか?

要するに、人間の頭は、名前(言葉)をキーワードとして、顔(イメージ)を紐付けているのです。

どちらかだけを覚えるのはあまり良い記憶方法ではないのですね。

ですから、先生の教え方が、イメージか言葉に偏っている場合はNGかもしれません。

(これは複数の先生に習うことで解決できるので、完全にNGとはいいきれませんが)

「こんなイメージ、そんな感じ」

「理論的にいうと・・・、物理的には・・」

という言葉ばかり言う先生にも気をつけたいところです。

はっきりいえば、社交ダンスの先生は、全体的に見て高いお金をもらっている割には、

教えることに関して恐ろしく勉強が足りていません。

弁護士さん並のお金を取る割には、教えることに関してほとんど勉強をしていないのです。

自分が習っている技術を教える、自分がやっている競技ダンスを教える、

これだけでは良いレッスンにはならないでしょう。

ダンスの先生に必要なことは、ダンス技術に加えて、教えるという技術です。

ですから、社交ダンスの先生は、もっとコミュニケーション理論や記憶の仕組み、話術、感情コントロールなどを学ぶ必要があるでしょう。

たとえば学連を卒業してダンスが踊れたとしても、先生としてはまだまだ新米なのです。

加えて、習う生徒さんのほうも、見る目を磨かないといけないでしょう。

知らないことを知っている先生は、とても尊敬できる絶対的なものに感じることが多いです。

でもそれは知識や経験が自分より多いだけで、それをちゃんと自分に伝えられる先生というのが、

一般的に言って良い先生でしょう。

・上達感覚が少ない
・何度も同じことを言われる
・踊っていて苦しい

こういった場合は、自分を疑うだけでなく先生を疑ってみるのも重要なことなんです。

ダンスは、自分ひとりではなかなか上達できません。

でも相手に依存しても上達できないのです。

習うとは何か教えるとは何か、とても難しいことですが、私はこう思います。

「自分の心と技と体を磨く」

ダンスの上達は、まさしく心技体なのです。

●ダンスの良い先生とは?その2

前回の「良い先生とはなにか?」 では一般的に良い先生というものを述べてみましたが、

実は長年教えていると、本当にこれが良い先生なのかと疑問に思うこともたまにあるのです。

確かに前回話した、4つのポイント

・何が良くて、何が悪いのかがわかる
・言葉でちゃんと伝えられている
・イメージが伝えられている
・やるべきことがはっきりわかる(すぐできなくてもよい)

これらはとても大事なことだと思います。

でも、これとまったく逆のレッスンの仕方もあるのです。

そうですね、ひとつ例をあげれば、職人の世界です。

・下積み10年
・見て覚えろ
・何も教えない

たぶんこんな感じだと思います。

でもそこから、すごい職人さんが出てきます。

すごいものを作る人は、独自にやってきている人も多いですよね。

きっと、すごい本当の頂点の世界ではこういうの物が必要なんだと思います。

何も教えてもらえないから、自分で考え、試して、繰り返して、

そういったものを何十年と繰り返して誰にもまねできないようなものを作り上げてくるのでしょう。

ダンスもプロの世界では、そういう部分は多分にあります。

今は大分そのようなやり方がなくなってきましたが、特に昔はそういう先生が多かったのだと思います。

でもこれは本当の頂点を目指すためのやり方で、その間にほとんどの人がふるい落とされてしまうでしょう。

多くの人に求められているレッスンというのは、最初にあげたポイントであるとおもいます。

あとは、自分の好みで選んでいけばよいでしょう。

先生も、よりいいレッスンをするために勉強しなくてはいけないですね。

私もまだまだ勉強中です。

投稿者プロフィール

滝川 洋信
滝川 洋信
大学生の時に社交ダンス部(競技ダンス部)で社交ダンスを始めました。社交ダンス講師歴20年、教えてきた生徒の数は1500名を超えました。
現在、池袋と川口で社交ダンス教室を運営し、若者向け社交ダンス<ダンスサークルJ>や<ダンスサークルアクト>を開催しています。
合同会社タキガワダンススクール代表。

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