サークルで社交ダンスを始めて、どんどん社交ダンスをやっているうちに、アマチュア競技会を目指したい人も出てきますよね。
でもアマチュア競技会に出るにあたっては、サークルJの初心者~初中級クラスみたいに、手順ややり方を順番に教えてくれたりしません。ほとんどの人が、なんとなく周りの人のやり方をまねして始める方がほとんどだと思いますが、実はとっても損をしています。というか、始め方を間違えるだけで、もうアマチュア競技会の競争の世界からふるい落とされているといっても過言ではありません。
アマチュア競技を目指しては、上手くいかず、競技ダンスどころか社交ダンスを辞めてしまうという人を今まで何人も見てきました。そういった人が一人でも減ってくれるように、ここではアマチュア競技会を上手く進めていく方法を書いていきたいと思います。
目次
①アマチュア競技会の世界を知ろう!
彼を知り己を知れば百戦殆からず
wikipedia
この言葉は中国の孫子という人の言葉であり、勝つために必要なこととして挙げられている。孫子はこの言葉に続いて、敵のことを知らずに味方のことだけを分かっている場合には勝ち負けの割合は半々になり、敵のことも味方のことも分かっていないようでは、ほぼ負けるとされている
まずは、この言葉をしっかり胸に刻んでください。
『アマチュア競技に進めば上手になれる』、なんて気楽に考えてはいけませんよ。
もちろんアマチュア競技を続ければ上手になると思います。でも実際には、才能があり生き残った人たちが、あなたたちの目に映っているのです。やみくもに競技へ進めば、上手くなるわけではないのです。
アマチュア戦にも、いろんな団体があり、それぞれによってレベルや年齢層、出ている人たちが違います。
一番レベルの高いJBDFのA級大会、そして三笠宮杯といった一部アマチュアの大会などは、ダンス歴10年異常といった人たちはざらです。
サークルから社交ダンスをスタートしてそういった舞台にたどり着けた人は、サークルJが始まってから15年以上を見てきても片手で数えられるぐらいです。(ちなみに私が見てきた範囲では、約2000人入会しています)
- どのくらい練習すればいいのか?
- どのくらい時間やお金がかかるのか?
- 大会の仕組みや大会のレベルなどはどうなっているのか?
- どうやって上達していけばいいのか?
そういった事を事前に良く調べてスタートしましょう!
特に、自分が目指したい場所は、どのくらいのレベルで、どれぐらい費やせばいいのか?
そこを間違えると、結局ダンスが面白くなくなってしまいます。というか、つらくて辞めてしまいます。
特に30歳を超えている方は、あまり時間や選択肢がありません。そして競技は、時間とお金を人生狂うレベルで使います。もちろんどのくらいやるかにもよりますが、MAXやれば【家1建買える】というのは昔よく聞いた格言です。
ガチ競技勢を目指すのではなく、サークルで楽しみながら、ちょくちょくアマ競技に出るミックスダンサーという選択肢もいいと思います。
そういった選択ミスを減らすためにも事前の調査は怠らないようにしましょう。またそういった事前調査が、ペアを組む際の認識のずれを少なくしてくれます。
②自分のレベルを知ろう!
先も書いたように、アマチュアと言えどトップクラスはプロとそん色がない人が集まっています。では、そこを目指さないにしても、自分はどこまでたどり着けるのだろうか?
誰もそんなことははっきりと断言できませんが、やはり才能の種が多いほど有利です。社会人になってから社交ダンスを始めた方が、日本のトップダンサーを目指せるかというと正直結構難しいです。(時間・年齢的に)
なので私的にはアマチュア競技に向かうのであれば、自分にどのくらいが目指せるのかをある程度知っておいた方が、いいのではないかな?と思います。
アマチュア競技の競うという点においては、以下に挙げられている点が多いほど、上位を目指しやすいと思ってください
- 運動が得意(特に前後左右に動き回る系のスポーツやダンス)
- 運動が得意(瞬発力が出せる)
- 柔軟性が高い(単純にストレッチが出来るだけではなく筋肉の使い方が上手)
- 関節の可動範囲が大きい
- もくもくと同じことを繰り返すのが苦にならない
- 他人と物事を進めてもあまりトラブったことがない(男女のお付き合いもあまり苦戦しない)
- 身長が高い、手足が長い、顔が小さい(ダンス向きの体系)
- 負けず嫌い
- ダンスに時間を費やせる(週4~6日程度の練習)
- ダンスにお金を費やせる(月に4個人レッスン、15日程度の練習)
- 人の話を素直に聞ける
- 理解力がある、もしくは感(勘)が良い
- 記憶力が強い
- サークルの大会(新人戦)などで、安定して1~3位程度の入賞ができる(男性)
- サークルの大会などで、組む相手にあまり困らない(女性)
- 若い(できれば20代前半)
あ~、、ずいぶん正直に言ってしまいました。ショックを受けた人もいるかもしれません。でもこれが正直なところです。上記に当てはまるほど、アマチュア戦やプロの大会、要するに競技の世界で活躍が出来る可能性が高いと思われます。
もちろん、これに全部当てはまらなくても、努力で伸ばせる部分はあります。もし当てはまる数が少ない場合は、少し最初の目標を下げたところからスタートしてみても良いと思います。全員が最初からトップを目指す必要は無いと思います。ゆるーくやる競技もいいと思うのですよね。
大事なのは自分のレベルを知ることです。そうすればおのずと、どこをまずは目指せばいいのか、が見えてきますし、また周りから(もしくはお見合い相手から)どのように評価されているのかを知ることも出来ます。
自己評価と他人からの評価がずれすぎていると、ほとんどが不幸な結末になります。
競技の世界は、受験と同じようなものです。ただし、自分の点数は誰も教えてくれません。
まずは己を知りましょう!
③パートナーを見つけよう!
アマチュア競技会に出る人の最初のヤマは、このパートナー探しです。
大体、ここで半分ぐらいの人があきらめていると思います。特に女性は、男性が少ないため、ここで相手が見つからずに諦めてしまう人が多いと思います。
相手を探す方法には以下の方法があると思います
- リーダー・パートナー募集サイトやツイッターなどで探す
- サークルやグループレッスンで出会った人と始める
- 知り合いや先生に紹介してもらう
- 彼氏や彼女、友人に声をかけて始める
この4種類ぐらいしか無いかと思います。上から順番に出会える可能性が多い手段です。
そして、それぞれメリット・デメリットがあります。
1.のネットで探すパターンは、一番多くの人と出会えます。
しかし、何のキャリア(級)もない新人のアマチュアダンサーにとっては、逆に厳しい世界かもしれません。女性の方が数が多く男性を取り合いになる、もしくはよりレベルの高い人をみんなが求めるので初心者の人が見向きもされない、といったパターンも多いです。
運がよかったり、ダンスの才能などを見初められて、初心者でも見つかることがありますが、その可能性は意外と低かったりします。まずは同レベルの人と組む方がおすすめですので、あまり背伸びしすぎない方が良いかなと思います。
また、中には危ない人も混ざっています。特に、リーダー探しを必死にしている女性に対して、良からぬ対価を求める輩も混ざっています。本当に気を付けてください。
2.のサークルやグループレッスンで知り合いの人に声をかけるのは、ある程度相手を知っているので良い手段かもしれません。声もかけやすいでしょうし、話が早いです。
しかし、1.と同じように、変な輩が混ざっている可能性もあります。何も知らない新人さんからすると踊れる人は神様に見えてしまいます。でもその神様は邪神(邪心)かもしれません、気を付けましょう。
あと、カップルを組むことになって二人でそのグループやサークルから抜けることになる可能性が高いのであれば、そこのグループ主催者や先生に失礼の無いように義理を欠くようなことは避けましょう。サークルやグループは、お見合いのためのグループではないですからね。
また、たとえ二人が解消したとしても、そこのグループに迷惑のかけることの無いようにしましょう。同じ場所で顔を合わせても、普通に踊れるぐらいの大人な形で解消してほしいですね。
3.の紹介は、良い人と出会える可能性がかなり高い手段ですが、それなりに自分のダンスのレベルや才能が無いと、あまり紹介してもらえない、というのが問題です。自分のレベルが高くなれば、他からの話が自然と入ってきますので、高いダンスレベルやキャリアを持っている人向けの、募集手段です。
4.の交際相手と始める方法は、意外とおすすめの方法です。
気が合って交際していて、お互いのことをわかっているのであれば、ダンスのカップルを組んでも上手くいく可能性が高いと思われます。もちろんアマチュア競技に出るにあたって相手と交際している必要はありませんが、それぞれが別々に彼氏彼女がいる状態だと、中々上手く続かないもの実際のあるあるの話でもあります。
ただダンスをしていない交際相手にダンス始めようと、言っても断られることも多いようなので、その辺は諸刃なのかもしれません。
ダンスを通して交際した相手なら、続きやすいかもしれませんね。
また知り合いや友人と始めるのはお勧めしません。
ほとんどの場合、友情が破綻するでしょう笑。
友人をダンスに誘うのはいいですが、一緒にパートナーシップを組むことは、仲が悪くなる可能性を多分に含んでいるので正直あまり勧めにくいですね。
といった感じで、以上のどれかから相手を見つけていくことになると思います。
ハッキリと言えることは、自分のダンスレベルが上位20~30%以内であれば、組むのはそんなに苦労しないでしょう。しかし、大抵の場合7~8割の人は、相手が上手く定まらず苦労するかと思います。まあこの世界はそういうものです。割り切ってください。ペア探しから競技は始まっています。
ダンスのレベルが上がったり、人間力が上がったり、自分のスキルがアップしていけば、良い人と組めるチャンスが増えるはずです。(まあ、イケメン・美女だけはそういった枠を飛び越えてしまうのですが、競技という点で純粋に考えたいので今回はそこの考察は無いということで)
変な人につかまってしまう事だけは避けてほしい所です。そのためにも、後に書いてあるメンターについては、早めに検討してもらえたらと思います。
④目標大会を決めて、ステップを組もう!
相手が決まったら、出場する大会を決めましょう。すでに①でしっかり調べてあれば、どのような大会でどのようなルールになっているかわかっているでしょう。
使っていいステップや種目などに合わせて振り付け(ルーティン)を作らないといけません。
ただ、大事な点が一つあって、このステップの振り付けは自分で作るのは絶対にやめましょう。4~6年ぐらいやっていると大体パターンなどが分かってきて、ある程度のステップは組めるかもしれませんが、初めて1~2年以内の人が作ったルーティンは、大体悲惨な状況です。
間違ったことをやっているように見える場合が多いですし、適切なステップのレベルもありますので、必ず経験豊富な先生に作ってもらいましょう。
もしくは、すでに作られたステップを使うのもおすすめです。
特にサークルJの新しくできたステップ(2023年作成 初中級ABCシリーズ、中級ABCシリーズ)は、重要なステップを抑えつつ、最近のはやりのステップも入れたステップになっています。(初中級ABCシリーズは、アマチュア競技会で使えないベーシックステップも入っていますので、修正が必要です)
特にバリーエションを踊る場合、中級ABCシリーズを利用することで、ステップコストを大幅に減らすことが出来ます。バリエーションを使いだすC・D級以上では、ほとんどの人がバリエーションステップを作るのですが、これがものすごい時間と費用が掛かります。
例えば、1分ちょっと程度の入門バリエーションを個人レッスンで作ると、振り付けだけで少なくとも1種目大体2レッスン。修正なども含めると3~4レッスン受けないと使い物になりません。金額にして2万円前後ぐらいでしょうか。
それがサークルJのグループレッスンだと1回800円。それを3回習って、さらに個人レッスンを2回入れたとしても、1万円程度です。これを3~4種目やるとなると、どのくらいコスパが変わってくるのか、良くわかるかと思います。
最初のうちから有名先生や高実績先生に習うのも、悪い手ではありませんが、とにかく金額がかかるのが難点です。スタートダッシュを得るのであれば、自分が良く行くサークルの先生で進めていくのは、かなりコスパの高い方法です。
ただし、その先生が良い先生かどうか、というのを見極めるのは、プロでも中々難しいことです。また噂や他人の評価も重要ですが、それも正しいかどうかは微妙なところです。自分の目で確かめたり感じたりするのも大事かと思います。
⑤相手とうまくやろう!
さて、最後のヤマです。
相手とうまくやりましょう!!
しかし、、、競技を始めた人たちの7~8割はここで脱落するのではないでしょうか?
- 意見が合わない(喧嘩になる)
- 結果が出ない
- 練習が出来ない
色々あります。
もちろん、『最初に組んだ相手とずっと続けている』カップルというのは、アマチュアでもプロの世界でもとても珍しい事例です。
長年続けていると、少なくとも大体2~3人ぐらいは変わっているものです。だから1回2回の脱落は気にしてはいけません。相手と解消してもまた復活すればいいのです。
ただ1年以内で解消するのが繰り返される場合は、ちょっとパートナーシップに問題があるかもしれませんね。ダンスの技術だけではなく、相手と上手くやる能力も磨かないといけません。
やはり同じ相手とは出来れば3年ぐらいは続けたいですね。それぐらい続けないと、色んなことが出来るようになっていきません。
しかしパートナーシップの継続が本当に難しいです。いかにここを乗り越えられるか、というところのですが、状況は千差万別のため、ここでは特に特定のアドバイスはありません。
悩みながら、磨きながら、時にはカップル解消も考えながら、良い道を探していきましょう!
⑥自分の目指すところを再度見定めよう
ここまで来れれば、おそらくアマチュアJBDFのC級は超えられてきているんじゃないでしょうか?もしくはクラスがそこまで届かなかったとしても、数年間はアマチュア競技の世界で続けられているんじゃないでしょうか?
もしアマチュア競技の世界を4年以上続けているのであれば、もう完全に勝ち組です。
ハッキリ言って、この世界は続けられるだけでも勝ち組なんです。サークルだろうと、競技だろうと、3年を超えて社交ダンスを続けている人は、10人に1人程度。いやもっと少ないかもしれません。
なので、続けているだけですごいと思ってもらってOKです。
そして改めて、ここまで来た人には、自分の進みたい道を見直してもらえるといいと思います。
- 年齢の事
- 将来の事
- 家族の事
- 仕事の事
いろんな事が、あると思います。
もしかしたらプロの世界に飛び込みたくなっているかもしれませんし、パートナーと結婚してダンスをお休みするかもしれません。別の事をやりたくなるかもしれません。
でも改めて、自分がどんな風にダンスに関わっていけたらいいのか、そして末永く社交ダンスに関われるのか、そんな風に思えてもらえたら、きっと競技の世界に来たことが自分の役に立っているかと思います。
多くの人がチャレンジしてはやめていってしまいます。
競技ダンスはキラキラした世界に見えますが、実際は残酷でつらい世界でもあります。競技の世界は良くも悪くも競争なんです。1次予選で落とされたら、それでその日は終わりです。しかも受験の倍率よりもっと高いです。
キラキラして見えるのはほんの上澄み。上澄みの下には、たどり着けなかったカップルがゴロゴロと横たわっている、そんな世界なんです。
それでも、良い感じで競技ダンスの世界を過ごせる人が一人でも多いと、社交ダンス初心者クラスをやっているダンスサークルJとしては嬉しいですね。少しでも心穏やかに競技を楽しめることを祈っています。
⓪実は最初の方に決めるといいことがあります
出来るだけ最初に決められるといいことがあります。
いわゆるメンター(指導者・助言者)を決めることです。競技ダンスの場合は、一般的にはレッスンをする先生が技術指導と兼ねてメンターをする場合が多いかと思います。
出来れば、先生にはダンスの技術以外の事、
- メンタル、心構え
- パートナーとの仲立ち
- 叱咤激励
- ダンスへの取り組み方
そういった事も教えてもらえたり、仲介してもらえるといいかもしれません。
特に、相手を探すとき、相手と上手くいかないとき、ダンスが思ったように伸びない時など、上手くいかないときに、メンターの存在はとても重要です。
もし、そういった事をあまりしてくれないダンスの先生であれば、別にそういった人を作るのでもいいと思います。(正直先生的には、その辺のメンター的な部分はボランティアになってしまうので、必ずそれを求めるというのもちょっと違うかもしれませんね)
ちなみに、ダンスの先輩とか周りのダンス仲間をメンター的に考えるのはあまり勧められません。競技仲間は一緒に競い合えると嬉しいものですが、順位を付けあうライバルでもあります。メンターとはちょっと違うのかな、と思います。
まとめ
長く色々書いてきました。⑥に書いたことがまとめではあるのですが、競技の世界は本当に一言では表せません。良い部分も多いし、つらい部分もたくさんあります。
もし競技を辞めたとしても、また戻れるサークルやグループがある、というのはとても心強いことなので、ぜひサークル出身競技ダンサーは、そういったところも忘れずに続けてもらえたら、と思います。
頑張ってください!
追伸
この記事がX(ツイッター)で社交ダンサー界隈でプチバズりしました。思った以上に、競技にチャレンジしてきた方などに刺さったようです。
記事が良かったな、と思う方は、ぜひ、いいね!、リポストお願いします。
これから【アマチュア競技会に出てみたい】という、サークルから社交ダンス始めたダンサーに向けて、うまくスタートして生き残っていくための注意・手順(マニュアル)を書いてみました。
— 20代・30代の社交ダンス教室&サークル<ダンスサークルJ> (@DanceCircleJ) July 11, 2024
アマチュア競技会に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。https://t.co/1E9EyETwXI pic.twitter.com/c4ctyg19Tk
投稿者プロフィール
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大学生の時に社交ダンス部(競技ダンス部)で社交ダンスを始めました。社交ダンス講師歴20年、教えてきた生徒の数は1500名を超えました。
現在、池袋と川口で社交ダンス教室を運営し、若者向け社交ダンス<ダンスサークルJ>や<ダンスサークルアクト>を開催しています。
タキガワダンススクール代表
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